現役小学校教員として、日々「学び」について考える
須坂市立森上小学校 原先生に、
「謎解き」と教育の親和性についてお伺いしました。

「謎解き×教育」がひらく、
探究の未来
謎解きは、子どもたちの思考を深め、主体的な学びを促す「知の冒険」です。とりわけ、総合的な学習の時間や教科横断的な探究活動において、謎解きの持つ構造「問いに出会い、情報を集め、整理し、考え、解き明かす」というプロセスは、まさに学びの本質と重なります。
今回製品化された【謎解き出前授業】では、海洋プラスチック問題という社会的課題に対し、子どもたちが「ポリマドン」という怪獣をめぐるストーリーの中で、その本質に迫っていきます。「海洋プラスチックとは何か」「どんな影響があるのか」「私たちにできることは何か」といった問いに対して、謎解きを通して段階的に気づきを得る設計は、学びの“動機づけ”として非常に効果的です。
たとえばこの授業を導入として、「5Rとは具体的に何か?」という問いを立てて調べ学習を展開。そこから地域の取り組みに興味を持ち、実際のまちの課題と結びつけた発信や提言へと発展する可能性も十分にあります。学びの起点としての謎解きは、子どもたちの行動を引き出すトリガーになり得ます。

謎解きを「学ぶ」から「創る」へ
—— 企画する側の学び
謎解きを“解く側”から“創る側”へ——。この転換によって、子どもたちは学びの「当事者」から「仕掛け手」へと成長していきます。
実際に私たちの学校では、6年生が中心となり、「少子化」と「須坂市の魅力」をテーマにした謎解きイベント『カソッカーからの挑戦状』を企画・実施しました。アンケート調査や地域ヒアリングから課題を見出し、物語や謎に落とし込むストーリー設計、協賛企業との交渉、当日の運営まで、すべてを子どもたちが主体的に担いました。
このプロセスには、課題の発見・情報の取捨選択・構造化・社会との接続・表現・改善といった、まさに“探究のエッセンス”が凝縮されています。イベント当日は、約1000人が来場し、地域を巻き込んだ大きな学びの場が生まれました。
謎解きには、「気づきたくなる仕掛け」「考えたくなる誘い」「伝えたくなる達成感」が詰まっています。だからこそ、教材としての導入だけでなく、“探究の起爆剤”として教育の可能性を広げる力があると確信しています。
須坂市立森上小学校
原 勇介